歯科経営の新時代を切り開く“経営コンダクター”の
アプローチCEOの中村浩介様をインタビュアーに迎え、
高井歯科クリニックの歯科診療について
取材を受けた様子を掲載してまいります。



- 実はこのご意見、私も医院に入ったときから雰囲気で感じていたので聞いてみたかったんです。是非教えてください。
- ありがたいことですが、特に何かしているつもりはないのですが…。
- あ、それ先生、何かしている方がおっしゃる定番のお言葉かと(笑)。
伺うたびに笑顔で迎えてくれるスタッフさんなので気持ちがいいです。 - ありがとうございます。
「患者さんを笑顔でお迎えしよう」というスタッフの気持ちがあってこそだと思います。 - その気持ちと心掛けが素晴らしいですよね。
実際に楽しく働けていないとなかなかそう思えません。 - 仕事をする上で楽しさは重要なテーマの1つにおいています。
- 実践するにはハードルが多いと思いますが。
- そうですね。
でも私は仕事の楽しさはやりがいから生まれ、そこにはプロ意識が必要だと考えています。患者様からするとコンビニより数が多い歯科医院に、縁あって高井歯科にご来院されているわけですから、患者様には「高井歯科があってよかった」と思ってほしいですし、スタッフにとってもそうでありたいですから。 - 高井先生、このインタビュー記事が文なので伝わりにくいと思うのですが…
熱量といいますか、エネルギーがすごいです。 - 仕事の話になるとつい熱くなってしまうときがあるので…気を付けます(笑)。
- そのままお願いします(笑)。
では、さっそくですがプロ意識をもって働ける職場環境について教えてください。 - わかりました。


- 歯科衛生士さんが単に“院長のお手伝い”化している医院は少なくありません。
- 私もそう思います。ですが、歯科医師も歯科衛生士も患者さまに接するプロとしての位置付けは変わらないと思っているので、精神的にも自立してもらえるように日頃接しています。
- 具体的にはどういった取り組みをされているのでしょうか?
- 定例のミーティングでスタッフが自主的に意見を述べられるように基本は私がだまっています。院長しか決められないようなことは口を出しますが。
- 朝礼や終礼でも院長が話すことがメインになってしまいがちですが、あえて話さないようにしているんですね。
- そうです。時々、私が熱くなってしまうこともあります(笑)。スタッフが自分で考え行動できるようになると、患者さまにも最善の治療を提案できるようになります。
- なるほど。日頃から考えを伝える練習をしているんですね。
衛生士さんから「ほんとはこっちの治療を勧めたいけどな」と患者さんに遠慮してしまうと聞くことも多いです。 - 患者さんに遠慮して最善の治療が提案できないのはプロではないですよね。
- 私も「とりあえず保険で」といったことがありますが「はい、わかりました」と治療が進んでしまうことに「大丈夫?」と恐さを覚えたこともあります。
- 保険は安いイメージがありますが応急処置なので、長い期間でみたとき結果として高くなったり負担になることは少なくありませんからね。
- 二度といいません(笑)。
- はい(笑)。
患者さんにとって何が最善なんだろうと考えると、担当になる衛生士も自分で物事を考えて自立していた方がいいんだろうなと。医療安全にもつながりますから。 - 歯科医師というより、姿勢が経営者としての鏡ですね。
- そんなことはないですよ。
スタッフだって、ただ歯科医師のお手伝いさんをやりたくて衛生士になったわけではありませんから、それを大事にしているだけです。 - 「これやっとけばいいんだ」じゃなく自主性を大切にしているからスタッフさんがイキイキしているんですね。
それでは、少しつっこんだ話ですが待遇面についてもお聞かせください。


- “プロ意識”という意味で、他の医院さんに比べてスタッフさんに求めるものが大きいように感じます。
待遇面でも工夫されているのでしょうか? - 工夫と言えるかわかりませんが、スタッフのライフスタイルによって柔軟に雇用形態の相談を受けていて、対応しています。
- と、いいますと?
- 歯科衛生士には結婚などライフイベントもあります。
そのときに、「歯科衛生士を辞めるか辞めないか」という2択はだれのためにもならないと思うんですね。
なので、産後もパートとして復帰しやすいように週1、2回の出勤だったり、子育てが落ち着いてきたら時短正社員で復帰しながらも、お子さんとの時間を大切にしてもらえるようにしています。 - ブランクがあるスタッフはどうしているんでしょうか?
- ブランクの有り無しにかかわらず練習の時間をつくって対応しています。
- スタッフさんも復帰しやすいですね。
- そう思います。
もっといえば経験年数だけで信頼し、患者さんの前にだすわけにはいきませんから。 - 徹底されていますね。
- 経験年数やできることによって話し合って決めていますが、
時短正社員のスタッフでも常勤並みの待遇です。 - 高井先生は“働き方改革”以前から取り組まれていますよね。
- 常勤であってもパートさんであっても、患者さんにとっては関係ないですから。患者さんに接するプロとして、待遇でも還元されて当然だと考えています。
女性だから、時短だから給与が少なくていいわけでなく、
チャレンジだったりやれることが増えたら、それを評価してあげたいんです。 - 有言実行できるところがすごいところです。
チャレンジとはなんでしょうか? - はい。高井歯科クリニックでは、認定衛生士になれるように完全バックアップしていて、勉強代やセミナー代も全額負担しています。
頑張るスタッフを応援したいですし、みんなの刺激にもなりますから。 - 至れり尽くせりですね…。
私も高井歯科で働きたいです(笑)。 - ぜひぜひ(笑)。
- 給与の話などつっこんだ話も伺いましたが、高井歯科クリニックに笑顔とエネルギーがあふれている理由がわかりました。
ありがとうございました。
私にとって、高井院長の“プロ”という言葉が非常に印象的に残ったインタビューだった。私が他院からいただく相談には、「スタッフを自立させたい」「院長の自分だけががんばっている気がする」「システム化したい」という相談がこのところ非常に多い。それと並行して、歯科業界ではマニュアルや規則作りがはやっている。しかし、規則をつくって満足してしまい、実際に運用できている医院はどれくらいあるだろうか。
マニュアルや規則の重要性を否定することはないが、高井歯科クリニックでの取材を通じて、仕事へのこだわりやプロ意識をもってマニュアルを落とし込む訓練することが、マニュアルや規則に命を吹き込むのだと改めて感じる取材となった。
<対談者:中村浩介(なかむら・こうすけ)氏 プロフィール>
アプローチ 創業者 / CEO日本大学卒業、歯科用ユニット、インプラントメーカーにて歯科業界に精通を始める。その後、ロサンゼルスに渡米しロングビーチ空港にてパイロットも経験する。帰国後は歯科経営と医療業界の働き方に精通し、歯科経営コンダクターアプローチを設立する。訪問した歯科医院件数は3000件以上を越え、47都道府県の歯科医院を訪問し経営ノウハウだけでなくモチベーションセミナーを実施するなど各地にわたって活躍し、クリニック経営のプロとして著者としての執筆活動も行っている。近年では、医療・保育業界など業界の垣根を超えた相談が寄せられている。